日本の職人という人たちが作る料理で思いつく料理は、蒲焼、すしが主流だと思う。この2つは確かに、家庭で作っても絶対にうまく作れません。本当に職人と言われるに値する料理だと思う。
しかし、日本人の通念で、焼き鳥屋さんが、あまりにも地位が低いような気がする。焼き鳥は、家庭ではうまく作れない立派な職人料理だと思う。
それに、すし、蒲焼に負けないくらい、美味しい料理です。
私は、東京にいる時は、焼き鳥が大好きだった。毎週のように焼き鳥と生ビールで過ごしていたことがなつかしい。
それでも、さすがに、焼き鳥をそのまま、噛んで、くしから抜いて食べるしぐさは人前では見せられなかった。そんなしぐさは、女の人はやってはいけないと自分では思っていました。
こういうところは本当に女性に生まれて嫌だなと思うけど、そんなことよりも、焼き鳥の美味しさに、酔う方がさきで、
「ああ、日本の居酒屋は最高ね」
なんて、いつも思っていた。
焼き鳥は自分で作ってみるとわかるけど、やってみるとすごくたいへんです。くしに肉をさす作業だけで1時間ぐらいかかる。それに、必ず、指をさしてケガはするし、焼いてみると火傷もする。
だから、焼き鳥をやいている男性を見ると尊敬さえしてしまう。焼き鳥がもっと職人として認められる時代が来ることを本気で願っています。